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唾液の臭いを感じるのはなぜ?原因と対策をご紹介

【監修:歯科医師 篠﨑章敬】



もともと唾液は無臭に近い状態です。しかし、お口の環境によって臭いが発生することもあり、唾液の臭いは口臭にも繋がります。

その臭いで周りの人の気分を悪くさせてしまうんじゃないかと考えてしまうと、不安になりますよね。ご自身で行える口臭対策もありますので、少しずつ取り組んでみましょう。

今回は「唾液の臭いの原因」「対策」「唾液が減少するリスク」などについてお伝えします。

実は「唾液」は臭いません

もともと唾液の臭いは限りなく無臭に近いです。唾液の成分はほとんどが水分で、その中に抗菌物質・免疫物質・消化酵素が存在することで構成されています。

唾液は細菌の活動を弱める役割や、虫歯や歯周病を発生しにくくする役割も担うなど、口の中で大きな役割を担っています。

では、なぜ「唾液が臭う」と感じるのでしょうか?

それは口臭と大きく関係しています。ニンニクのような飲食物に含まれる臭い物質を除くと、口臭の原因物質は、ほとんどが口の中に存在する細菌により作り出されています。

細菌は口の中に存在する剥がれた細胞や白血球などのタンパク質などをもとにガスを作り出します。そのため、口の中の細菌が増殖しやすい状態だとガスも多く作り出されます。このガスが唾液に混じることで「唾液が臭う」ように感じるのです。

唾液が臭う主な原因と対策

①持って生まれた口臭
「生理的口臭」とよばれ、歯周病などの病的な原因はなく口臭を感じることです。口の中に全く口臭のない方は存在せず、誰しもが多かれ少なかれ口臭があります。生理的な口臭は特に朝起きてすぐに感じることが多いです。生理的な口臭の原因は、細菌が口の中に存在するタンパク質(剥がれた細胞や白血球など)をもとにガスを発生させることです。この臭いの発生源は、主に舌の付け根部分になります。朝、口臭が強いと感じる方は、就寝前にブラシで2~3回程度、舌を清掃すると効果的です。ただし、磨き過ぎると舌が傷つくため1日1回程度を目安に行いましょう。

②歯周病
歯周病にかかると口臭が発生しやすくなります。特に、歯周病が進行し重症化すると口臭も強くなりやすいです。この原因となるのは、歯と歯茎の間にある溝(歯肉溝:しにくこう)から、にじみ出てくる滲出液が増加するためです。滲出液には、多くのタンパク質成分や白血球が含まれており、これらをもとに細菌が臭いの原因となるガスを作り出します。その中でも特に、歯周病菌は活発にガスを作り出します。このように、歯周病と口臭は密接に関係しています。対策としては、定期的なクリーニングと正しいケアを行い歯周病の進行を予防することが口臭予防に繋がります。

③内臓由来の口臭
胃腸や肝臓、膵臓などにおける内臓疾患が原因で口臭が発生することもあります。しかし、口臭外来にかかられる患者さん全体の数パーセントしかおらず、発生頻度としては少ないと言えます。

④メンタル面が関係する口臭
歯科医院で口臭検査を行っても口臭がないが、患者さんが口臭を感じると訴えるケースもあります。この場合に考えられるのが「仮性口臭症」・「口臭恐怖症」です。メンタル面が関係することが多く、ストレスや緊張を強く感じた時に唾液の分泌が減ることで口の中が乾燥しやすくなり、一時的に口臭を感じることもあります。

歯垢(プラーク)自体の臭いについて

実は、歯垢(プラーク)や虫歯は臭いません。

虫歯菌は歯垢(プラーク)の中で糖分をもとに酸を作り出し、その酸で歯を溶かし虫歯を作ります。そのため、虫歯菌は酸性の状態で活動しますが、口臭の原因物質は酸性の状態では発生しないと言われています。歯の周りに歯垢(プラーク)が多く付着していても歯垢(プラーク)自体は臭いません。

しかし、歯垢(プラーク)が原因で歯茎の炎症が引き起こされると、歯周病に関連した口臭が発生しやすくなります。つまり、歯垢(プラーク)は、それ自体は臭いませんが口臭の原因になることもあるので、しっかり歯磨きでケアすることは非常に大切なのです。

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唾液の働きについて

お口の中で唾液は重要な働きを担っています。

①口の中を潤す
唾液により口の中が潤うことで、粘膜に傷がつきにくくなり、口の中を保護する働きがあります。また、舌や喉の動きもよくなり、咀嚼・嚥下などの口の機能も向上しやすいです。

②汚れを洗いながす
唾液は1日約1L~1.5L分泌されます。唾液が多く分泌されることで、食片などの汚れや細菌を洗い流してくれます。唾液にはお口の中に汚れがつきにくくする働きがあります。

③虫歯になりにくくする
唾液には、歯に必要な成分であるカルシウムやリンが含まれています。虫歯は、虫歯菌が口の中の糖分を元に作り出した酸により歯が溶かされてできます(脱灰)。その溶かされた部分に、唾液の成分が補われることによって、初期虫歯であれば治ることもあります(再石灰化)。また、虫歯菌が酸を多く作り出すと、口の中は酸性になりやすく歯が溶かされやすい状態になりますが、唾液には酸性になった口の中を中性に戻す働きもあります。唾液は虫歯予防において非常に大切な存在です。

④消化を促進する
唾液には、消化酵素であるアミラーゼが含まれています。このアミラーゼにより、炭水化物が分解されやすく、胃や腸などの消化器官で消化吸収されやすくなります。そのため、咀嚼をしっかりと行うと、唾液の分泌が促進されやすくなり消化器官に負担がかかることを抑えることができます。

⑥細菌・ウィルス感染予防
唾液には免疫細胞も含まれています。唾液が正常に分泌され口の中が潤っていると、細菌やウィルスに対する抵抗力も強くなります。そのため、正しいケアにより日頃からお口の中の環境を整えておくことは、感染症・口臭・虫歯・歯周病などへの予防に効果的です。

唾液の変化は体からのサインかも

唾液の分泌量が減ると、唾液の働きも低下しやすいです。そのため、唾液の分泌量が減ると、虫歯や歯周病にかかるリスクが高まります。お口が乾燥してネバつく、唾液の臭いを感じることがあれば、まずは歯科医院でクリーニングを行いお口の中を清潔に保てるようにしましょう。いつもより咀嚼回数を増やしてみたり、唾液腺のマッサージを行うことも唾液の分泌促進に繋がるのでおすすめです。

また、ストレス、生活習慣の乱れ、疲れ、喫煙、全身疾患なども唾液が減少する原因にもなるため、一度、生活習慣を見直してみるのも良いでしょう。

唾液の変化は、体からのサインにもなります。なかなか改善されない場合は、内科や口臭外来などを受診してみましょう。

唾液の臭いが気になる方はご相談ください

唾液の臭いは、人に相談しにくいデリケートな問題になりやすいです。当院では、そのようなお悩みにも対応できるように唾液検査も行っております。

唾液の変化には様々な原因が考えられ、原因を特定するのは難しい場合もあります。しかし、検査によりご自身の唾液の状態を知っていただくと、お口のケアにも役立ち、お口のトラブルに対する予防効果も期待できます。

唾液の臭いや口の中のネバつき、口臭などが気になる方は、ぜひ当院へご相談ください。

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