大人の過剰歯、放置は危険?その影響と治療法を徹底解説
「過剰歯」とは、本来の本数よりも多く歯が存在する状態を指します。
通常、永久歯は親知らずを含めて合計32本あり、それ以上の歯が見つかると「過剰歯」と診断されます。
過剰歯は、子どもの歯科健診で見つかることが多いですが、中には大人になってから初めて気づくケースもあります。
実は、大人の過剰歯を放置していると、歯並びや咬み合わせに深刻な悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
今回は、大人の過剰歯が引き起こすリスクと、抜歯が必要かどうかの判断基準について詳しく解説します。
1、過剰歯とは?なぜ大人にも残るのか
2、放置するとどうなる?大人の過剰歯のリスクとは
3、過剰歯は抜歯すべき?治療の判断基準とは
3−1、抜歯が推奨されるケース
3−2、経過観察が可能なケース
4、過剰歯は放置せずに早めの診断を受けましょう
過剰歯とは?なぜ大人にも残るのか
過剰歯は、歯が作られる過程で歯の芽(歯胚)が余分に形成されたり、分裂したりすることで生じると言われています。
日本人では約2%の割合で見られ、決して珍しい症状ではありません。
小児期の歯科検診などで発見されることが多いですが、症状が出にくかったり、レントゲン撮影を行わないと判明しなかったりすることもあり、以下のような理由で大人になってから見つかることも少なくありません。
⚫︎子どもの頃に発見されたが、経過観察のまま放置している
⚫︎正中(上の前歯の間)や小臼歯の裏側など、見た目ではわかりづらい場所にある
⚫︎無症状のまま成長し、成人後に行なったレントゲン撮影で偶然見つかった
放置するとどうなる?大人の過剰歯のリスクとは
「歯が多いだけなら特に問題ないのでは?」と思うかもしれませんが、過剰歯を放置すると、以下のような深刻なトラブルを引き起こす可能性があります。
■ 永久歯の萌出障害
過剰歯が邪魔をして、本来生えるべき永久歯が生えてくることができなかったり、本来生えるべき場所からずれて生えてきてしまったりすることがあります。
■ 歯並び・咬み合わせの悪化
過剰歯が他の歯を押し出すことで、叢生(歯が重なりあって生える、ガタガタの歯並び)やすきっ歯になりやすく、見た目の問題だけでなく虫歯や歯周病のリスクも高まります。
■ 永久歯の根の吸収・神経の損傷
埋まっている過剰歯が隣の歯の根を溶かし、その結果、隣の歯の神経にまでダメージを与えてしまうことがあります。
■ 嚢胞の形成
過剰歯の周囲に膿が溜まり、周囲の骨や歯を圧迫する「嚢胞(膿の袋)」ができる場合があります。
嚢胞は過剰歯だけに留まらず、隣接する歯にも広がる恐れがあります。
■ 細菌感染・炎症
過剰歯が原因で歯磨きがしにくい部分ができると、歯垢(プラーク)が溜まって歯茎に炎症が起きやすくなります。
■ 義歯や矯正の障害
将来的に入れ歯や矯正治療が必要になったとき、過剰歯が治療の妨げになる場合があります。
過剰歯は抜歯すべき?治療の判断基準とは
歯科医院で過剰歯の治療を行う場合、主に「抜歯」を行うことになります。
抜歯をしない場合は経過観察で様子を見ます。
抜歯が必要かどうかは、CTやレントゲン撮影などの精密検査を行い、以下のような基準で判断されることが多いです。
抜歯が推奨されるケース
⚫︎他の歯に影響を及ぼしている
⚫︎歯並びや咬み合わせに問題が生じている
⚫︎将来的に嚢胞ができたり、虫歯や歯周病などの感染リスクが高い
過剰歯があることによって口内トラブルが引き起こされる可能性が高い、もしくはすでにトラブルが起こっている場合は、他の歯を守るためにも抜歯が推奨されます。
過剰歯の抜歯は、過剰歯が生えている位置や向きによって難易度が変わります。
たとえば、歯ぐきの外に出ている「順性過剰歯」は比較的簡単に抜歯できますが、骨の中に埋まっている「逆性過剰歯」や「水平埋伏歯」の場合、歯ぐきの切開や骨の除去、縫合などを伴う外科処置が必要です。
また、抜歯後に歯並びの乱れが見られる場合は、ワイヤー矯正やマウスピース矯正などによる治療も検討されます。
経過観察が可能なケース
⚫︎他の歯や組織に影響を与えていない
⚫︎骨の中に深く埋まっており、抜歯をするリスクが高い
⚫︎成長や老化を経ても問題が生じる可能性が低いと判断される
過剰歯が存在していてもトラブルに繋がらないようなら、経過観察を行うことが多いです。
定期的なレントゲンやCT撮影で様子を見て、もし、将来的に悪影響が出てくるようなら抜歯を行う場合もあります。
適切な時期に診断ができるように、定期的に歯科医院を受診しましょう。
過剰歯は放置せずに早めの診断を受けましょう
大人の過剰歯は、見た目には問題がない場合でも、放置することで将来的にトラブルに繋がるリスクがあります。
特に、永久歯の根の損傷や歯並びの悪化などは、最終的には抜歯をともなう処置が必要になる可能性があり、大切な歯を失うことになりかねません。
過剰歯が疑われる、または歯科健診で指摘された場合には、早めに精密検査を行なって専門的な診断を受けることをお勧めします。
歯科用CTによる診断であれば、抜歯が必要かどうかが明確になります。
ご自身のお口の状態を知り、今後の対処方法を知ることは、歯を守ることに繋がります。
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