若い人でも部分入れ歯は普通?若い年齢の方が気にするポイントもわかりやすく解説
【監修:歯科医師 篠﨑章敬】
「入れ歯は高齢者が使用するもの」とイメージしがちですが、若い人でも部分入れ歯を必要とするケースは珍しくありません。20代や30代でも歯を失うことがあり、しっかり噛めるようにするための選択肢のひとつです。今回は、若い年齢での部分入れ歯について、その必要性と利用時の注意点をわかりやすく解説します。
1.若い人で部分入れ歯をしている人はいる?
2.若い人が歯を失う原因
3.歯を失ったまま放置するデメリット
4.部分入れ歯のメリット
5.部分入れ歯のデメリット
6.若い人の部分入れ歯に関するよくある質問
6-1目立ちにくくてバレない部分入れ歯はある?
6-2部分入れ歯は他の治療より不便?
6-3部分入れ歯は違和感がある?
6-4部分入れ歯とブリッジどちらが良い?
6-5部分入れ歯はいくらくらい?
7.まとめ
若い人で部分入れ歯をしている人はいる?
「入れ歯」と聞くと、どんなイメージをお持ちでしょうか?多くの方は「高齢者が使用するもの」と考えがちですが、実は若い世代でも必要になることがあります。20代や30代といった若年層でも、さまざまな理由で歯を失い、部分的に入れ歯を使用するケースは決して珍しくありません。
歯を失った場合、放置すると他の歯に過度な負担がかかり、将来的な健康問題を引き起こすリスクが高まります。そのため、早期に適切な処置を行い、将来的なトラブルを予防することが重要です。
若い人が歯を失う原因
若い人が歯を失う原因には、主に次のようなものがあります。
○虫歯、歯周病
歯を失う主な原因の一つが、虫歯や歯周病です。
日々の歯磨きで歯ブラシが届きにくい部分にプラークが蓄積し、虫歯や歯周病が進行することがあります。特に虫歯は、初期段階で痛みがないため気付かないうちに進行してしまうことが多く、放置すると神経に達し、最終的には歯を失うことにもつながります。
歯周病も同様に、初期段階では自覚症状がなく、知らない間に病状が進行する病気です。進行すると歯を支える顎の骨が溶け、重度の場合には歯がグラつき、自然に抜け落ちてしまうこともあります。
○事故などによる外傷
若い人が歯を失うもうひとつの大きな原因が、事故による外傷です。スポーツ中の衝撃、交通事故、転倒などによって、歯が折れたり脱落したりするケースは決して珍しくありません。これらの事故は予測が難しく、突発的に起こるため、防ぐことが難しいです。
歯を失ったまま放置するデメリット
歯を失ったまま放置すると、見た目の問題だけでなく、残された歯にも悪影響が及びます。具体的には、次のような問題が挙げられます。
○噛み合わせが悪くなる
歯が一本でも欠けると、噛み合わせのバランスが崩れ、顎関節に負担がかかります。これにより、食事の際に不快感や痛みを感じることがあるほか、顎関節症の原因となる場合もあります。
○発音が悪くなる
歯は発音において重要な役割を果たしています。歯を失うと空気の抜け方が変わり、「サ行」や「タ行」などの発音が不明瞭になり、言葉が聞き取りづらくなることがあります。
○他の歯に負担がかかる
歯を失うと、残された歯に過剰な負担がかかります。これにより、歯の磨耗や亀裂、さらには歯の寿命が縮まるリスクが高まります。
○歯並びが悪くなる
歯が抜けて空いたスペースに隣接する歯が徐々に移動し、歯並びが乱れることがあります。これは見た目の問題だけでなく、歯磨きがしづらくなり、虫歯や歯周病のリスクがさらに高まる可能性もあります。
部分入れ歯のメリット
部分入れ歯のメリットの一つは、「取り外しが可能」である点です。取り外しができるため、日常のお手入れが非常にしやすくなります。入れ歯を口から取り外して、専用のブラシを使用することで、隅々まで清潔に保つことができます。これにより、食べかすや細菌の蓄積を防ぎ、口臭の原因となるプラークの形成も抑えることができます。
就寝時には入れ歯を外すことができ、口腔内の健康を保つのに役立ちます。入れ歯を装着していると、歯肉や口腔組織に炎症を引き起こすリスクが高まりますが、夜間に取り外すことでそのリスクを軽減することが可能です。
なお、就寝時の入れ歯の着脱に関しては、お口の中の状態によってどちらが適切かが変わりますので、必ず歯科医師にご相談ください。
部分入れ歯のデメリット
部分入れ歯にはいくつかのデメリットがあります。
金属のバネが見えること
部分入れ歯を固定するための金属のバネは、笑ったり口を大きく開けたりした際に見えてしまうことがあります。特に若い方や女性にとっては、この見た目の問題が気になることが多いです。
バネがかかる歯に負担がかかる
入れ歯を支えるバネがかかる歯には、通常よりも大きな力が加わります。そのため、支えとなる歯が磨耗したり、長期的にダメージを受けたりするリスクが高まります。
違和感と傷の発生
部分入れ歯は、お口の中に異物感を与えるため、特に最初のうちは強い違和感を覚えることがあります。また、入れ歯が合っていない場合、粘膜に擦れて傷ができることもあり、痛みや不快感を引き起こします。
これらのデメリットを軽減するためには、定期的に歯科医師による調整を受けることが大切です。また、見た目や快適性を向上させる選択肢として、最新の歯科技術を活用することも挙げられます。
若い人の部分入れ歯に関するよくある質問
若い人の部分入れ歯について、よくある質問をまとめました。ポイントを詳しく解説していきます。
目立ちにくくてバレない部分入れ歯はある?
目立たない部分入れ歯についてのご質問は非常に多く寄せられます。現在では、目立ちにくく自然な見た目の部分入れ歯を作成することが可能です。これらの入れ歯は、色や形が天然の歯に近いため、普段の生活で他人に気付かれることはほとんどありません。特に、歯肉色のバネを使用することで、笑ったり話したりしたときも、入れ歯であることが目立ちにくくなります。
部分入れ歯は他の治療より不便?
部分入れ歯には、他の歯科治療と比べて以下のような一部不便さを感じることがあります。
・取り外し可能であるため、食事や就寝の際の着脱を手間に感じることがある
・定期的なクリーニングとメンテナンスが必要で、ケアを怠ると臭いや汚れの原因になることがある
部分入れ歯は違和感がある?
新しい部分入れ歯に慣れるまでには、一定の時間がかかることがあります。最初のうちは、違和感を覚えたり、発音しにくかったり、食べ物の味や食感に違和感があったりします。ただし、多くの場合、これらの症状は時間と共に改善していきますので、無理をせず、少しずつ慣れていくことが大切です。
部分入れ歯とブリッジどちらが良い?
部分入れ歯
<メリット>
・取り外し可能で清掃が簡単
・複数の欠損歯に対応でき、コストも比較的低い
・健康な隣接歯への影響が少ない
<デメリット>
・日常的な取り外しが手間
・適応に時間がかかり、違和感を覚えることがある
ブリッジ
<メリット>
・固定式で使用感が自然で、違和感が少ない
・長期的に安定し、見た目も自然
<デメリット>
・隣接する歯を削る必要があり、健康な歯に負担がかかる
・コストが高くなることがあり、歯の健康状態によっては適用できない場合もある
どちらが適切かは、欠損している歯の数、隣接歯の状態、予算、ライフスタイルや健康状態によって異なります。
部分入れ歯は柔軟性と経済性に優れていて、ブリッジはより自然な見た目と長期的な安定性が得られる治療方法です。最適な選択をするためには、必ず歯科医師と十分に相談しましょう。
部分入れ歯はいくらくらい?
部分入れ歯の費用は、使用する材料や補う歯の本数によって異なります。
保険適用の部分入れ歯:約30,000円から100,000円程度
自由診療の部分入れ歯:100,000円から300,000円以上
また、これらの費用には、初診料、型取り費用、調整費用など別途かかることがあります。
具体的な費用は歯科医院によって異なるため、治療を検討する際には、いくつかの歯科医院で相談してみることをお勧めします。
まとめ
若い方でも、部分入れ歯の使用が必要となる場合があります。事故や病気によって歯を失った際、部分入れ歯は噛み合わせの乱れや他の歯への過度な負担を軽減する役割を果たします。
また、見た目や装着時の違和感を最小限に抑えられるように作ることも可能です。
年齢に関係なく、お一人おひとりのお口の状態に合わせた治療プランをご提案しておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。