起床時の口臭が気になる!歯科衛生士おすすめの解決法
朝起きた時、口臭が気になったり口の中が粘ついたりすることはありませんか?実は寝起きの口臭に悩まれている方は多いです。口臭の悩みがあっても人にはなかなか言い出しにくいですよね。今回は「口臭に潜む原因」と「口臭対策」についてお伝えします。
1、口臭に悩む人はどのくらいいるの?
口臭の主な原因
口臭に病気が潜んでいる可能性もあります
2、起床時は口臭を感じやすい
起床時の口臭が1番強い
なぜ寝ている間に口臭が強まるの?
3、起床時の口臭予防対策
正しい歯磨きを行う
舌磨きも効果的
歯周病治療(クリーニング)
洗口液の活用
口臭に悩む人はどのくらいいるの?
日本人が口臭を気にする割合は約9割と言われています。
歯科医院に来院される患者さんが訴える症状の中で口臭はトップ3に入ります。実際に、大学病院の口臭外来は予約でいっぱいであることが多いです。
口臭はデリケートな問題であるためなかなか言い出せない患者さんも含めると、より多くの方が口臭で悩まれていると考えられます。
口臭の主な原因
体臭や口臭が全くない人は存在しません。ただし、それが周囲の人を嫌な気持ちにさせてしまうのであれば問題が生じます。口臭は主に「生理的口臭」と「病的口臭」の2つに大別されます。
生理的口臭とは、起床時や空腹時、強い緊張状態などが原因で唾液の分泌が減少することで発生します。(唾液が減少すると口腔内が乾燥しやすく細菌が繁殖しやすくなり口臭が発生しやすくなります)
一方で、病的口臭の8割以上は口腔内に原因があります。歯周病や虫歯、ドライマウスなどが原因として考えられます。胃腸や肝臓などの内臓疾患が原因となるのは1~2割程度で意外と少ないです。
その他の口臭の原因としては、検査しても口臭はないのに患者さんが口臭を訴える「仮性口臭症」や「口臭恐怖症」など患者さんの精神的な部分が大きく関係しているものもあります。
口臭に病気が潜んでいる可能性もあります
口臭は、ただ口が臭いと言うだけではなく病気が潜んでいる可能性もあります。病的口臭の主な原因の大半は口腔内の問題です。
【歯周病】
歯周病患者さんは歯周病が悪化すると口臭も強くなりやすいです。歯周病が悪化すると歯と歯茎の間にある歯周ポケットが深くなります。そのポケット内から染み出てくる滲出液内のタンパク質や白血球を細菌が分解することで臭い物質が作り出されます。また、歯周病菌は臭い物質をたくさん発生しやすいので口臭も更に強くなりやすいです。
【虫歯】
虫歯になると歯が溶かされて歯の表面に穴があきます。穴があくと食物が詰まりやすくなり歯磨きしても除去しにくくなります。それが繰り返し起こり、虫歯が進行すると歯の神経まで虫歯菌が到達し神経を腐らせてしまうことで口臭が強まることもあります。
【親しらず】
意外かもしれませんが親知らずも口臭の原因になることがあります。他の歯と同じように真っ直ぐに生えている状態であれば特に問題ないです。しかし、斜めに倒れて生えている状態だと歯と歯茎の間や歯と歯の間が磨きづらいです。そのため、歯垢(プラーク)がたまり虫歯や智歯周囲炎(親知らずの周囲の歯茎が腫れ、痛みや膿が出る症状)になりやすく口臭の原因になりやすいです。
【舌苔】
細菌は口腔内のあらゆるところに存在しています。その中でも特に多く存在するのが舌のつけ根です。この付近は細菌やタンパク質が多く存在し面積が広いです。そのため、細菌がタンパク質を分解することで臭い物質が作り出されやすく強い臭いが発生します。特に舌の後方⅔の部分は臭いが発生しやすいです。
【ドライマウス】
ドライマウスとは分泌される唾液量が減ることで口内や喉が乾燥することです。唾液は口内で大切な役割を果たしており、口内の汚れを洗い流す「清浄作用」や細菌の働きを抑える「抗菌作用」等があります。しかし、唾液の量が減ってしまうとこれらの作用が弱まり細菌が増殖しやすくなります。これらの細菌が作り出す臭い物質により口臭が発生しやすいです。歯周病と一緒にドライマウスを発症している方はより口臭が強まりやすいです。
【喉や鼻の病気】
体の構造上、口と鼻は非常に近い所に位置し体の中で繋がっています。副鼻腔炎や咽頭炎、扁桃炎が発症し、炎症が強くなると膿が生じることがあります。膿はタンパク質を多く含んでいるため魚や卵が腐敗したような臭いを発生し、その臭いが呼吸と一緒に出てくるため口臭を感じやすいです。特に副鼻腔炎は鼻水も出ることによって口呼吸になりやすくドライマウスも併発しやすいため口臭が強くなりやすいです。
【口腔ガン】
口の中は口腔とも呼ばれ、口腔内にできるガンを全て含めて「口腔ガン」と呼びます。日本の口腔ガンの発症数は1年に約6000人で、うち約3000人もの方が亡くなられているのが現状です。口腔ガンは発症する部位で名称が違い「舌ガン」「歯肉ガン」「口腔底ガン」「頬粘膜ガン」「口蓋ガン」「口唇ガン」に分けられます。口腔ガンの中では舌ガンの発症が最も多く、次いで歯肉ガンが多いです。発生割合は全てのガンの1~3%と少なめで世間一般では認知度が低いため、目で見える部分に発症するにも関わらず進行するまで気付かないことが多いのも事実です。症状として出やすいのが口の中の痛みです。他にも、しこり、腫脹、ただれ、出血、歯の揺れ、口臭などの症状もでることがあります。一度、お口の中を確認してみて他の部位よりも赤かったり白かったりする部位はないか、1ヶ月以上治らない口内炎はないか確認してみましょう。
起床時は口臭を感じやすい
起床時に口臭を感じられている方は多くいらっしゃいます。その原因は就寝時のお口の中の環境が関係しています。
起床時の口臭が1番強い
起床時に口内が粘ついたり乾燥していると感じることはないでしょうか?それは、就寝中に唾液の量が減少するためです。細菌はこの間に増殖し臭い物質を作り出しやすくなります。そのため起床時は強い口臭が発生しやすいのです。
ただ、朝起きた時やお腹が空いたとき、緊張したときに発生する口臭は「生理的口臭」と言われ誰もが生まれ持った性質です。しっかりケアできれば改善することができるため心配しすぎなくても大丈夫です。
なぜ寝ている間に口臭が強まるの?
【プラークが飲食後8時間で作り出されるため】
プラーク(歯垢)とは歯の表面についている細菌の塊です。白~黄色っぽい色をしており舌で触るとザラつきを感じます。プラーク1mg中には約300種類1億個の大量の細菌が存在しています。プラークは飲食後8時間で作り出されるため、就寝中は口の中の細菌の量がピークになります。これらの細菌が臭い物質を作り出し口臭を発生させます。
【唾液の分泌量が減少するため】
就寝中は日中より口を動かすことがほとんどなく唾液腺への刺激が減ることもあり唾液の分泌量が半減します。唾液には、口の中を洗浄する作用や細菌の働きを弱める作用があります。唾液が減るとこれらの作用も弱まるため汚れが停滞しやすくなるとともに細菌も増加し強い口臭が発生しやすいです。
起床時の口臭予防対策
食べ物由来の臭い物質を除くと、口臭の原因物質の多くは細菌が作り出しています。細菌は体内のタンパク質を構成しているアミノ酸を分解して臭い物質を作り出しています。そのため、口臭予防で大切なことは「細菌を減らすこと」と「臭い物質のもととなる材料」を減らすことです。
正しい歯磨きを行う
正しく歯磨きを行い、お口の中の細菌を減らすことで口臭予防に繋がります。
一般的な歯ブラシのみで一生懸命歯磨きしても汚れが除去できる割合は7割程度です。歯と歯の間や、歯と歯茎の間、歯の溝の部分等は一般的な歯ブラシでは磨くのが難しいことがあります。その時は細かい部分まで清掃しやすい補助清掃用具がおすすめです。
補助清掃用具には「フロス」「歯間ブラシ」「ワンタフトブラシ」などがあります。それぞれ使い方にコツがあるので使い方を知った上で使用してみましょう。歯科医院のクリーニングの時などにご自身に合った清掃補助用具やその使用方法を教えてもらうのも良いでしょう。
舌磨きも効果的
口の中で細菌が多く存在している場所は「舌の付け根」です。口臭の元となるタンパク質も多くあり面積も広いため口臭が発生しやすいです。そのため、起床時の舌磨きは非常に効果的です。
舌の幅が広くなる後方2/3くらいに存在する舌苔を舌ブラシで磨き、磨き取ることができれば口臭が弱まります。
舌磨きは1日1回、舌ブラシで3~4回優しく磨く程度にしましょう。これ以上行なうと舌が傷つくことがあります。舌に傷ができたり出血するようならすぐに止めましょう。
歯周病治療(クリーニング)
歯周病患者さんは口臭が発生しやすいです。
歯周病が進むと歯と歯茎の間の溝(歯肉溝)が深くなります。その部分に滲出液が増加します。滲出液中には多くのタンパク質や白血球が存在するので細菌がそれらを材料にして臭い物質を作り出します。特に歯周病菌は臭い物質を作るのが得意です。
細菌が材料とする白血球は歯茎の炎症が強くなるほど増加します。逆に言えば、歯茎の炎症を抑えることができれば材料となる白血球の減少に繋がります。そのため、歯周病と口臭は密接に関係していると考えられ歯周病治療は口臭治療の基本となります。
洗口液の活用
よく聞かれるのが「マウスウォッシュ(洗口液)は口臭に効果があるのか」という質問です。
現時点での答えは、「一時的な効果は得られますが根本的な効果は期待できない」です。そのため、歯周病治療と舌清掃を行なった上で補助的にマウスウォッシュを使用していただくのがおすすめです。抗菌作用の期待できるマウスウォッシュもあるので、就寝前や起床時に使っていただくと口の粘つきも改善されお口の中がサッパリします。
カルナデンタルクリニックでは、クリーニング・定期検診を行っております。
口臭の原因となる汚れや歯石を除去し、より詳しい検査をご希望の方には、唾液検査でお口の中の菌のバランスまで調べることが可能です。
お口を清潔に保つためのケアも、当院へお任せください。