歯を守る!歯ぎしり用マウスピースとは??
歯ぎしり・食いしばりは、無意識に行うことが多く自覚しづらいです。
実際、成人の約8割が歯ぎしり・食いしばりをしていますが、その中の1割程度しか自覚していません。歯ぎしり・食いしばりを放置していると、歯はもちろん体にも悪影響を及ぼします。残念ながら、現状では歯ぎしり・食いしばりを治す根本的な治療はないです。
しかし、歯の保護や顎の負担軽減のためにマウスピース(ナイトガード)を使用することは有効です。今回は、「歯ぎしり・食いしばり」「歯ぎしり・食いしばり用のマウスピース」についてお伝えします。
1.歯ぎしり対策に歯科用マウスピースがおすすめ
2.歯ぎしりが体にもたらす悪影響とは?
・歯の擦り減り
・詰め物や被せ物が外れやすい
・歯が欠ける・割れる
・知覚過敏
・歯周病の進行
・顎関節症
3. マウスピース使用のポイント
・おすすめは歯科医院で作成するマウスピース
・市販のマウスピースとの比較
・違和感を感じることもある
・定期的にメンテナンスを行なう
・清潔に保つ
4.歯ぎしりをされている方は歯科医院を受診しましょう
歯ぎしり対策に歯科用マウスピースがおすすめ
歯ぎしり・食いしばりはブラキシズムとも言われ大きく3タイプに分けられます。
1つ目はギリギリと上下の歯を擦り合わせるタイプの歯ぎしり(グライディング)、2つ目はカチカチと上下の歯を小刻みにかみ合わせるタイプの歯ぎしり(タッピング)、3つ目は奥歯を強く噛みしめる食いしばり(クレンチング)です。
歯ぎしりは深い眠り(ノンレム睡眠)から浅い眠り(レム睡眠)に変化するタイミングで起こりやすく、脳が活性化した時に起こるというメカニズムは解明されていますが原因ははっきりわかっていません。
飲酒や喫煙、カフェインの多量摂取を行なっている方は歯ぎしりを行ないやすい傾向にあります。
歯ぎしりや食いしばりは睡眠中に無意識に行われることが多く、自分で止めることができないため根本的な改善が難しいです。
そのため、現状では歯ぎしり・食いしばりを根本的に治す治療法はないですが、その弊害から歯を保護したり顎の負担を減らすための対症療法として、歯科用マウスピースを使用することをおすすめします。
歯ぎしりが体にもたらす悪影響とは?
歯ぎしりはギリギリという不快な音が特徴的ですが、それだけではなく歯や体に対しても悪影響を及ぼします。
歯の擦り減り
歯ぎしりは上下の歯を擦り合わせるので、自分の歯を自分で削ってしまうことになります。
ひどい場合は、歯表面のエナメル質だけではなく、その内部の象牙質や神経まで到達することもあり、知覚過敏や虫歯のリスクを高める可能性もあります。
詰め物や被せ物が外れやすい
歯ぎしりや食いしばりの衝撃で、詰め物や被せ物が外れてしまうことがあります。
再度、詰め物や被せ物を装着しても、歯ぎしりや食いしばりが治らない限り繰り返すことが多いです。
歯が欠ける・割れる
特に神経のない歯は歯質が弱ってきます。そのため、過度な力がかかると歯の表面が欠けたり、ヒビが入ったり、根元が割れる可能性もあります。
知覚過敏
歯ぎしりや食いしばりにより歯に過度な力がかかると、歯茎付近のエナメル質が剥がれてくることがあります。
それが進行すると歯の表面が楔状にえぐれて、歯内部の象牙質がむきだしになります。
そうすると、冷たい物・熱い物や歯ブラシが触れるとしみて知覚過敏の症状を引き起こすことがあります。
歯周病の進行
歯ぎしりやくいしばりは歯周病の進行を早めるとされています。
歯ぎしりやくいしばりによる過度な力は、歯以外にも歯茎や歯を支える骨(歯槽骨)などの歯周組織にも影響します。
歯茎の炎症がある部分に過度な力が加わると更に炎症が強くなり、歯槽骨にも負荷がかかるため歯槽骨の破壊も引き起こす可能性もあります。
顎関節症
歯ぎしりや食いしばりは顎関節にも影響します。
特に強い食いしばりは歯を強い力で噛み込むため顎への負荷が大きくなります。顎に過度な力がかかると顎関節症のリスクを高めます。
顎関節症になると関節部や顎周囲の筋肉の痛みを感じたり、大きく口を開けることが難しくなります。軽度の歯ぎしりが長く続く場合も顎関節症のリスクを高めます。
マウスピース使用のポイント
マウスピースは歯を保護したり顎への負担を軽減するなどの効果がありますが、使用する上で大切なことがあります。
おすすめは歯科医院で作成するマウスピース
歯ぎしりから歯を保護するためのマウスピースは、上下どちらか一方の歯に装着します。歯科医院では歯型を取り、オーダーメイドのマウスピースを作成することができます。
マウスピースの大切なポイントは左右同時にかめることです。歯を噛んだときに左右の偏りなどがあると、かえって歯や顎を痛めることになります。
歯科医院で歯ぎしり用マウスピース(ナイトガード)を作成する場合は健康保険が適用できます。費用の目安は保険適用で3000円~5000円くらいです。
マウスピース使用のポイント
市販のマウスピースは短時間ででき、価格も1000円〜と安価です。
歯科医院で作成するマウスピースとの違いは精度の違いです。
市販品でも歯の型をとって使用する物もありますが、温めて柔らかくした素材を自分で噛んで作成します。それに比べ、歯科医院では歯型を取り模型におこしてから、歯にぴったり合うように作成するため噛み合わせもほとんど違和感なく使用できます。
また、市販品は素材が柔らかい場合が多いです。マウスピースを使った矯正治療があるように、就寝中の長時間柔らかい自作のマウスピースを付けていると制御不能な矯正治療のようなことになって歯が動き、歯や顎を痛めてしまうことがあります。
市販のマウスピースは、お試しで使用するなど短期間のみの使用にとどめましょう。
違和感を感じることもある
口の中は、髪の毛一本分の噛み合わせの違いで違和感を感じるくらい敏感です。
そのためマウスピースを就寝時につける場合も違和感を感じやすく、眠りづらさを感じる方もいらっしゃいます。他にも起床時に顎の痛みを感じたり、口を少し開けて寝てしまうこともあり口の乾燥を感じる方もいらっしゃいます。
多くの方は1~2週間程で違和感がなくなります。それでも違和感が続くようであれば、マウスピースに慣れるために、一度、薄めの柔らかいマウスピースを試してみると良いです。(ただし、柔らかめのマウスピースは長期間の使用にはお勧めしません。慣れたら通常のマウスピースに交換して使用しましょう。)
定期的にメンテナンスを行なう
歯ぎしり・食いしばりが毎日続くと、マウスピースも徐々に擦り減ります。
そのため噛み合わせの状態も変化するので、定期的に歯科医院で噛み合わせの状態も確認してもらいましょう。
マウスピースに関しても、歯ぎしり・食いしばりが強い方は半年~1年くらいで交換が必要になることもあるので、不具合を感じる場合は歯科医院に相談してみましょう。
歯のクリーニングやメンテナンスのタイミングで一緒に診てもらうのがおすすめです。
清潔に保つ
マウスピースの素材は強化プラスチックのため、熱に弱く傷つきやすいです。
温度が上がりやすい車内などに放置しないようにしましょう。
また、清潔に保とうとして熱湯消毒すると溶けて変形するのでやめましょう。普段のお手入れは、朝起きてから歯ブラシで磨いて汚れを落とし、洗浄剤につけておきましょう。(歯磨き粉には研磨剤が含まれており傷つきやすくなるため、歯磨き粉は使わないようにしましょう。洗浄剤は入れ歯洗浄剤でも良いです。)
使用しない場合は、洗浄後乾かして専用のケースで保管しましょう。
歯ぎしりをされている方は歯科医院を受診しましょう
歯ぎしりの影響で歯にダメージがある場合、歯を治す治療が必要になることもあります。歯や詰め物・被せ物が僅かに欠けていたり、ヒビが入っている場合は自分では気づきにくいです。
歯ぎしり・食いしばりがある方は、治療が必要な箇所はないか確認するためにも、一度、カルナデンタルクリニックへご相談ください。