歯科コラム

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歯が欠けた・折れた・・・・こんなSOSに対応する適切な治療とは!?

【監修:歯科医師 篠﨑章敬】


SOSを訴える受話器のイラスト

「人体の骨の中で一番硬い」と言われている、私たちの歯。そんな歯ですが、欠けてしまうことってありますよね。
 そんな緊急事態に備えて、普段から、近所の歯科医院で定期的に検診をしているというのは、とても大事なことなんです。

とっても硬いのに・・・歯が欠けてしまう4つの原因とは?

●むし歯で歯が欠けることがあります    
知らない人はいない、むし歯・・・・丁寧に説明すると・・・
ミュータンス菌などが出す酸によって、歯の表層であるエナメル質から中の象牙質へと、歯の外側から溶かされ、穴が開いてしまう病気のことです。
むし歯が無い人は、成人の1割程度と言われています。なんだか、急に怖くなりますね。定期健診を受けて、防ぐしか手立てがありません。


●歯ぎしり、食いしばり  
眠っている間(無意識)に、歯をこすりあわせてしまうことで、歯が欠けてしまう人は、意外に多いです。私もその一人で、定期健診で指摘を受けたことがあります。歯が削れてしまいました。
一方、スポーツ選手など、日中、意識的に歯を食いしばることでも歯を欠損するケースもあります。


●酸蝕歯(さんしょくし)って何? 
酸蝕(さんしょく)と読みます。あまりなじみがありませんね。
簡単に言えば、「酸」によって、歯が溶けてしまうことです。
実は、普段から口にする食べ物や飲み物に、この「酸」が含まれています。知らない人も多い、この「酸」、実は、果物やフルーツジュース、ドレッシングなどにも含まれています。
「酸」を含む食品を食べたあとは、歯の表面のエナメル質が最もダメージを受けやすい状態になります。食後のブラッシングの時に力を入れすぎると、歯を欠損する恐れがありますので、特に注意が必要です。
薬剤や胃酸なども、酸蝕の原因となります。


●外傷               
「お母さん!転んで、歯が欠けちゃった!どうしよう!」 「野球の硬球が、歯にあたってしまった」「交通事故で歯が欠けました・・・」「自転車に乗っていて転んじゃった・・・・」
突発的な事故で、歯を痛める患者様は、割と多いです。
転んで歯を欠損する事故は、乳幼児と小学校低学年に多いという傾向が、あります。
一方、交通事故等、子供だけではなく、大人の私たちにも無関係ではありませんよね。
実は・・・・歯は、転ぶ前から、すでにヒビなどが入っていることがほとんどといわれています。柔らかいものを食べていても欠けてしまうこともあるんです。

歯が欠けた場合の応急処置について

やっちゃった・・・・・歯が欠けてしまった場合、どうしたらいいんでしょう。
この忙しいのに!と怒りすら覚えるときもありますよね。歯医者になんか行っていられないよ!と思う方も多いかもしれません。

欠けた・折れた歯の破片は絶対に「乾燥させない」!

元どおりに治せる可能性もあります。
生理食塩水(約0.9パーセントの食塩水)や牛乳などに浸して、一時的に保存し、「乾燥をふせぐ」というのが、第一です。
学校の保健室には「歯科用保存液」があります。24時間程度の保存が可能です。ただ、用意できない緊急事態もありますよね・・・・・
その場合は、欠けた歯を口の中に含んでおく方法もあります。
一方、口から外部に出た歯をもう一度、口の中に入れるのは、抵抗もありますよね。また、誤って飲み込んでしまえば・・・・もちろん、無くなってしまいます。

やってはいけないこともあります。

  • 欠けた部分や残った根本を舌や指で触る
  • 市販の接着剤で仮止めしてみる
  • 水道水やミネラルウォーターにつける

このような行為は、雑菌による炎症等を引き起こす原因となります。また、水道水等は、浸透圧の関係で、歯が傷む可能性もあります。これらの行為は、残せた自分の歯を、失ってしまう危険性があるんです。
安易に自分で判断せず、かかりつけの歯科医院の急患制度や、当番医等の救急外来を利用しましょう。やはり、かかりつけの歯科医院があることって、大事ですよね。

歯が歯根から抜けてしまった・・・・場合

あまり知られていませんが・・・抜けた歯を元の場所に戻して固定し、1か月ほどで、もとどおりにすることができる・・・・・・可能性があります!

根本から、抜け落ちてから、30分以内に固定することが大切とされています。なかなか、30分以内は、厳しいかもしれませんが、大至急、かかりつけの歯科医院を受診しましょう。
もちろん、残念ながら、元には戻せない場合もあります。
歯周病(歯の土台である骨がなくなる病気)の場合は、元に戻せません。
とにかく、折れた歯を歯科医院に、大至急、受診しましょう!

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歯が欠けた場合・・・どうやって治療するの?

状況により簡単な方法から、時間がかかる方法まで、様々な治療方法があります。詳しくは、担当される歯科医師まで、お気軽に質問していただければと思います。
我々には、患者様が納得されるまで説明する義務があります。

●小さな欠け・隙間の治療法。実は、簡単に治るかも!?
プラスチックの白い詰め物・・・・見たことある方、多いですよね。昔なら金属を入れる治療になるケースにも対応できるようになりました。
セラミックや金属と比較すると、強度は劣りますが、欠けた部分だけ詰めて修復することができます。
歯を削る必要がないことは、患者様の負担が少なく済みます。

●大きくかけちゃった・・・・・・どうしよう
私たちは、歯に被せ物をする、詰め物をする等、欠け方によって対応いたします。
歯の中にある神経が死んでいるケース・・・・大きく割れているケース・・・・欠損は、十人十色です。
それぞれのケースに従って、最良の治療方法をご提案いたします。
場合によっては、マウスピースで保護する必要もあります。


●「神経が露出しているんで」 どうやって治療するの?
「歯が、欠けてしまって、神経が露出しているので、神経を取りますね」こんなことを、歯科医師に言われたら・・・・ドキッとしますし・・・・、えっいきなり何!?でも、お任せするしかない・・・・という患者様は、多いと思います。

「神経を取るリスクは?」「私の歯はどうなっちゃうの?」

治療するためには、神経が元に戻る状態なのか、神経が元に戻らない状態なのか、その状態を正確に見極める必要があます。
その状態により、とるべき治療方法は異なります。
患者様には、「歯を守る」ことを職責として、意識している歯科医院をお選びいただきたく思います。「歯医者なんてどこでも同じ」「早くて、安ければいいよ」というお考えは、誤りです。


●まずい!事故で歯が欠けちゃった! ~外傷による脱臼の場合~  

「野球の硬球が、歯にあたってしまった」「交通事故」「自転車に乗っていて転んだ」

突発的な事故で、救急外来にいらっしゃる患者様もいます。このような場合、視診(歯科医師が見ること)やエックス線診(レントゲン)で異常は認められないが、「なぜか、違和感がある」方もいます。
経過観察を行い、1か月後~3か月後に様子を確認する。その後、少なくとも1年間は経過を観察することが、推奨されています

歯が欠けて、放置するのは、やめましょう。

歯が欠けて、だいぶ放置してしまう方もいます。適切な治療を、適時に行うことが大切ですよね。なるべく早めに歯医者にかかるようにしましょう。


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