前歯が欠けた!緊急事態に困ったときの対処法と治療方法について
あなたは前歯が欠けてしまった!というご経験はありますか?歯は非常に硬く丈夫なものですが、虫歯になって脆くなっていたり、強い衝撃が加わることで折れてしまうことは多々あります。今回は歯が欠けた時でも慌てずに対処するための知識をお伝えしていきます。
歯が欠けてしまったときの対処法
歯が欠けたところは触らない
歯が欠けた箇所はどうしても気になるので指や舌先で触りたくなってしまいます。しかし歯が欠けた箇所が尖っていたり、刃物のように鋭利になっていると指や舌を傷つけてしまいます。
痛みがひどい時には鎮痛剤を
事故などによる外傷で歯が欠けた時、大きな衝撃で神経も損傷してしまうことがあります。激しい痛みを伴うので、すぐに歯医者を受診できない時は鎮痛剤を服用してください。
欠けた歯の保存方法
歯の破片や抜けた歯の保存方法は非常に重要です。抜けてしまった歯でも元の場所に戻す(再植)治療がありますので、諦めず落ち着いて次のことを守ってください。
- 抜け落ちた歯を水で洗わない。
- 生理食塩水もしくは牛乳に浸して保管する。歯根面を乾燥させないように。
- 歯根の表面は絶対に触らない。
速やかに歯医者さんへ
歯が欠けてしまったときは速やかに歯医者さんで診てもらいましょう。特に強い衝撃を受けて歯が欠けたり、折れたりしている場合は、歯だけではなく周辺組織にも炎症や出血が起きている可能性があるため、放置してしまうと悪化する一方ですし、噛み合わせの問題が起きたり、虫歯になりやすくなってしまうこともあります。
欠けた歯の治療法
●小さく欠けている場合
見た目には分からない程度、歯の端のところが少し欠けた、というくらいであれば、歯を削って滑らかにして処置が終わることもあります。しかし、欠けて隙間や穴ができている状態の時は詰め物をすることが一般的です。レジンと呼ばれるプラスチックでできた白い詰め物で隙間や穴を塞ぎます。歯を大きく削らず残すことができますし、保険治療なので費用を抑えることもできます。ただ強度は低く、セラミックや金属には劣ります。
●中くらいに欠けた場合
歯の損傷が見た目にも明らかなくらいある場合は、かぶせ物をすることになります。色や形、他の歯との噛み合わせも考慮して、欠けた歯を覆うかぶせ物を作ります。金属を使う保険治療のかぶせ物、セラミック等を使う自費治療のかぶせ物がありますが、見た目や強度の面では自費治療の方がはるかに優れています。
●大きく欠けた場合
歯が大きく損傷している時は、神経が露出しないで残っている場合はかぶせ物をします。神経が露出してしまっている場合は、神経を取り除いて根管治療が必要になります。神経を取った歯は脆くなってしまうので、土台を入れて補強をしてからかぶせ物をします。
歯が欠ける原因は?
虫歯で歯が脆くなっている
虫歯は、虫歯菌が歯を溶かしてしまう病気です。歯は表面を硬い「エナメル質」内側には柔らかい「象牙質」という2層構造になっているのですが、虫歯菌はまず表面のエナメル質に小さな穴を開け、歯の内部に侵入していきます。内部の象牙質は柔らかいので表面のエナメル質よりも早く溶かされてしまいます。そうすると見た目は小さな虫歯でも、中の象牙質が溶けていて空洞ができ、脆い歯になっていることがあります。
歯ぎしり・噛みしめ・食いしばり
ストレスや身体的疲労などで歯ぎしりや噛みしめ、食いしばりなどの症状がある方がいます。通常、上下の歯は数ミリの隙間が空いているのですが、歯ぎしり・噛みしめ・食いしばりがあると長時間歯に強い圧力がかかります。体重の2~3倍とも言われるその圧力で歯が折れたり、亀裂が入ってしまうことがあります。
歯ぎしり・噛みしめ・食いしばりは多くの場合、就寝中に無意識にしているので自分で気づくことが困難です。
事故などによる外傷
事故や転倒、スポーツ中の接触などによる強い衝撃で歯が欠けたり、歯がグラグラになってしまうことがあります。この場合、歯の神経を残すことができれば、かぶせ物などで歯を修復します。しかし神経に損傷がある場合、歯の根っこの治療(根管治療)で神経を取り除く場合もあります。
酸蝕歯になっている
歯の表面を覆うエナメル質は、酸に弱いという性質があります。酸が強いワイン、レモン、お酢などを取り過ぎると、お口の中が酸性に傾き、エナメル質が溶けやすい状態になり歯が脆くなってしまいます。
まとめ
歯が欠けたり、折れたりした時に最も重要なのは初期の対応です。自分では状況判断が難しいので速やかに歯医医院に連絡を入れ、適切な診断と処置を受けましょう。
また事故などによる外傷は避けられませんが、虫歯や歯ぎしり等が原因で歯が欠ける場合は、症状を改善することで未然に防ぐことも可能です。虫歯が気になっていたり、パートナーから歯ぎしりを指摘されている方は一度歯科医院を受診してみてください。