差し歯は、保険が適用されるの?保険診療と自由診療の違いとその内容
差し歯には、保険適用のものと自由診療(保険適用外)のものがあります。今回は、差し歯(かぶせ物治療)の違いについて、ご紹介します。違いを知り、選択肢を広げましょう。
保険と自費は何が違うのか?
治療費について
一般的に、いちばん気になるのが、費用かもしれません。保険診療費用と自由診療費用は、大きく異なります。
●保険診療の費用
保険診療の自己負担額は、差し歯1本あたり、3000円~10000円程度です。
治療方法・箇所や素材など、歯科医院によって異なるため、多少の変動があります。
●自由診療の費用の一例(一般的な金額です)
ジルコニア 12万円~22万円 人工ダイアモンド
金歯 6万円~12万円 価格が変動します
オールセラミック 8万円~15万円 陶器
メタルボンド 8万円〜15万円
ハイブリットセラミック 5万円~12万円
医院によって金額が違うのは、治療方法や仕入れの価格の変動等があるためです。保険診療と比べ、治療の選択肢が広がる反面、費用は大きくなる傾向があります。
素材について
保険診療と自由診療では、使用する素材が大きく異なります。素材によって、費用や耐用年数が異なります。
保険診療の素材
金属とレジン(歯科用プラスチック)のみになります。
奥歯の場合は、銀歯になります。銀歯といっても、「銀」ではなく、さまざまな金属が含まれます。
<メリットとデメリット>
- 治療は、安価
- レジンは、時間が経つと劣化しやすく、変色しやすい。
- 金属アレルギーの方は、使用しにくい。
- 見た目がよくない。
自由診療の素材の一例
●オールセラミック(陶器)
差し歯全体がセラミック(陶器)でできているものです。
<特徴>
- 金属アレルギーの方でも使用できる。
- 透明感があり、自然な白さを持っている。
- 変色しない
- 歯科技工士の腕により、仕上がりにばらつきが出る
- 陶器なので、破損しやすく、使用できる箇所が限られる
- 保険治療に比べれば、高価
●ハイブリッドセラミック
セラミック(陶器)に、レジン(歯科用プラスチック)を混ぜたものです。
<特徴>
- 金属アレルギーの方でも、使用できる
- 強度あり。また、仕上がりが綺麗で、自然な白さがある
- 自由診療としては、比較的費用が安価
- 歯科技工士の腕により、仕上がりにばらつきが出る
- 変色する可能性がある。
- 保険治療に比べれば、高価
●メタルボンド
表層をセラミック(陶器)で作られており、中は金属でできているもの
<特徴>
- 強度あり。また、仕上がりが綺麗で、自然な白さがある
- 強く噛み合わせる箇所にも使用できる
- 表層をセラミック加工してあるため、金属アレルギーのリスクを低減できる
- 歯科技工士の腕により仕上がりにばらつきが出る
- 歯の裏側からは、金属が見えてしまう。オールセラミックよりは、審美性に劣る
- 歯周病等により歯ぐきが下がると、歯ぐきとの境目が黒ずむことがある
- 強度が高すぎて、他の歯を痛めることがある
●ジルコニア
メタルボンドの内側の金属に代え、白色ジルコニアを使ったものです。強度、審美性の両面でも優れ、金属アレルギーの心配もありません。
<特徴>
- 強度・仕上がり・自然の白さ等すべての面で、優れた性質がある。
- 強く噛み合わせる箇所にも使用できる
- 金属アレルギーのリスクを低減できる
- 汚れにくい
- 高価
- オールセラミックよりは、色味が劣る
- 歯周病等により歯ぐきが下がると、歯ぐきとの境目が黒ずむことがある
- 強度が高すぎて、他の歯を痛めることがある
- 差し歯をかぶせる歯を、比較的大きく削る必要がある
●金
いわゆる「金歯」です。色が目立つことから、奥歯に選ばれる方が多い素材です。
<特徴>
強い噛み合わせにも耐えられる強度がある
保険の銀歯よりも寿命が長い
白くない
まれに金属アレルギーの要因となる
高価
耐用年数について
耐用年数は、それぞれの素材によって異なります。
保険診療の耐用年数
レジン(歯科用プラスチック)や銀歯の耐用年数は、約7年と言われています。差し歯を作製した際の精度や、日頃のお手入れによってもこの耐用年数は変わります。
自由診療の耐用年数
それぞれの使用する素材によって様々ですが、8年~10年と言われています。保険診療で使用されるレジン(歯科用プラスチック)や銀歯に比べ、耐用年数は長いといえますが、お手入れが全く要らなくなるというわけではありません。
まとめ
今回は、保険診療と自由診療について、その違いをご紹介いたしました。素材の違いは、費用や耐用年数に影響をあたえます。また、箇所によっては保険診療を避けた方がいい場所もあります。医院の方針によっては、取り扱う素材に違いがありますので、通院中の医院で歯科医師のアドバイスを受けながら、違いを知った上で、あなたにとって最もいい選択肢を見つけられると良いですね。