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舌小帯にできものを見つけたら…注意するポイントと治療方法

【監修:歯科医師 篠﨑章敬】



舌の下に「できもの」ができたら、それをただの「お口の中の傷」と思わず、少し注意して観察してみましょう。

見た目は普通の傷に見えるかもしれませんが、もし痛みがあったり何度も同じところにできたりするときは、ただの傷ではない可能性があります。そのような時は、一度、歯科医院などの専門機関で診てもらいましょう。

舌小帯の「できもの」が「口内炎」でない可能性もある!?

舌の裏側にある細い筋を「舌小帯」と言います。舌小帯に「できもの」ができている場合、見た目が口内炎に似ているためそのまま放置してしまうことがあるかもしれません。

ところが、舌小帯にできた「できもの」が、体からの重要なサインを示していることがあります。これを見逃してしまうと健康に影響を及ぼす可能性も考えられます。

舌小帯のできものは、単なる口内炎とは異なる可能性があります。痛みがある場合や繰り返しできる場合は、ただの口内炎ではないかもしれません。このような症状がみられたら、自己判断だけで終わらせずに専門機関で相談することが大切です。

舌小帯の「できもの」の種類と治療方法について

舌小帯にできる「できもの」はいくつか種類があります。「できもの」の種類によって治療方法も異なります。

お口の中にできる「できもの」の可能性として、

  • 口内炎
  • 粘液嚢胞(ねんえきのうほう)
  • 舌がん
  • 白板症(はくばんしょう)

などが挙げられます。

これらの症状が見られた場合、見分けがつきにくいためにそのまま大きな病気に繋がる可能性も考えられます。特に、症状が改善しない場合や悪化する場合は、速やかに医療機関での診察を受けることが重要になります。

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口内炎

口内炎は、口の中の粘膜で起こる痛みや炎症のことをいいます。この症状は頬の内側、唇の裏、舌など、口の中のさまざまな部位に起こります。

口内炎が起こる主な原因には、ストレス、栄養不足、噛み傷がありますが、時には他の病気が隠れていることもあります。

口内炎は患部に軟膏を塗ることで炎症や痛みを緩和することが可能です。また、口の中を清潔に保つことで症状を落ち着かせることができます。さらに、免疫力を高め、十分な休息をとることで症状の悪化を防ぐことができます。

ところが、口内炎に似た症状でも、「白板症」や「舌がん」などの病気が原因の場合があります。特に、痛みがない、硬いしこりがある、ずっと治らないなど症状が長引く場合は、口内炎以外の病気が原因のこともあるので、早めに歯科医院を受診することをお勧めします。

粘液嚢胞

粘液嚢胞とは、小さな唾液腺が塞がり、唾液が溜まって水ぶくれのような状態になることをいいます。この状態は主に下唇、舌の下、または頬の内側にできやすいです。

粘液嚢胞ができる原因の一つに、食事中に唇や頬を噛むこと、または歯磨き中に歯ブラシで口内を傷つけることがあります。傷が治る過程で、唾液の管が詰まり、嚢胞ができるとされています。

粘液嚢胞の治療方法にはいくつかありますが、症状によっては外科手術が必要になることもあります。場合によっては経過を観察して様子を見ることもあります。もしお口の中に水ぶくれがあって気になるという方は、早めに歯科医師に相談するようにしましょう。

舌がん

舌がんは、「口腔がん」のうち約半数を占めます。舌がんができやすい部分は舌の側面ですが、まれに裏側にも発症することもあります。舌の表面や先端に発症することは確率としてはかなり低いです。裏側に発症するとご自身では見えにくく発見しにくいため、歯科医院に来院したタイミングで見つかることが多いです。

特徴は硬いしこりですが、初期の状態では痛みがでにくく、見た目も小さいので口内炎と間違われやすいです。口内炎は2週間くらいで治るので、それ以上の期間治らなかったり、症状が改善せず痛みがひどくなりしこりのような硬さを感じるようであれば、自己判断で終わらせず口腔外科などの専門医院で診てもらうようにしましょう。

白板症

口の中は粘膜で覆われていますが、その粘膜が肥厚して(細胞増殖により厚みを増すこと)白くなっている状態が「白板症」です。頬の裏側の粘膜や舌、歯茎に発症することが多いです。

痛みはほとんどないため、気づきにくいです。白板症はがんになりやすい「前癌病変」となることもあります。前癌病変の疑いがある場合は、顕微鏡による組織検査を行って診断します。

お口の中の粘膜が白っぽくなる症状に、白板症以外にも「カンジダ症」(カビが原因)がありますが、カンジダ症は擦ると白い部分がとれます。しかし、白板症は擦ってもとれません。このような特徴の違いにより「できもの」の種類を特定していきます。

「できもの」を見つけた時に注目すべきポイント

できものができた時に注目すべきポイントはいくつかあります。以下にそのポイントを具体的にご紹介しますので、ご自身でも確認してみてください。

位置と大きさ
できものを口の中で見つけた場合、その位置と大きさを最初に確認しておくことが非常に重要です。できものがどの部分にあるかを把握することは、その原因や緊急性を判断する上で必要な情報となります。また、最初に発見した際の大きさと時間が経つにつれての変化も、診断を行う上で大切な判断材料となることもあるので注意深く観察しておきましょう。写真を撮って記録し、診察の際に歯科医師に確認してもらうのもよいでしょう。特に、できものが大きくなっている場合、検査や治療が必要になることがあります。

痛みの有無
できものを見つけた際には、その痛みの有無も重要なチェックポイントです。痛みを伴う場合、それは炎症や感染症が原因である可能性があります。また、痛みが特に強い、または持続するような場合には、より深刻な病状の兆候である「がん」の可能性も考慮する必要があります。このような場合には専門医による診察が必要になります。

色と質感
できものの色や質感も重要なポイントです。色や質感によって、そのできものが示す病状の種類を推測することができます。できものの硬さや表面の滑らかさ、ザラザラしているかどうかなど、質感に関する観察も症状の原因を特定する上で役立ちます。

発症期間と変化
できものができてから何日間くらい経っているのか、また症状が改善しているのかどうか確認することも非常に重要です。特に、できものが数日間で自然に解消される場合は、一時的な炎症や軽度の感染が原因である可能性があります。しかし、数週間・数カ月以上も症状が続いている場合や、症状の悪化がみられる場合は、より深刻な病気が潜んでいる可能性があります。

自己判断をせずに、専門家による正しい診断を

舌小帯に「できもの」を見つけた場合、自己判断でそのまま放置することは避けるようにしましょう。

特に、症状が2週間以上続いている場合や、できものが徐々に大きくなっているような場合は、単なる口内炎ではない可能性が考えられます。より深刻な病気の可能性を示していることも考慮する必要があります。

このような場合、「大丈夫だろう」と見過ごさず、歯科医師や専門の医療機関に相談することをお勧めします。専門家による適切な診断と治療が、問題の早期解決につながります。

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