親知らず抜歯後の痛みや腫れを少なくするには?注意点と解決方法について
親知らずは虫歯・歯周病の原因になることも多く、抜歯した方が良いと判断されるケースもあります。親知らずを抜歯した後に起こりうるトラブルや、抜歯後の注意点、もしも痛みや腫れが出た時の解決方法についてご紹介していきます。
1、抜歯後には痛みや腫れが出ることがあります
2、親知らずの抜歯後に見られる代表的な症状
・ドライソケットとは?
・抜歯後の腫れ
・抜歯後に避けた方が良いこと
3、安全に親知らずを抜歯するために
4、まとめ
抜歯後には痛みや腫れが出ることがあります
歯を抜いた後、体は傷口を治そうと血の塊をつくり、徐々に歯茎や骨を回復させていきます。傷が治る過程で、腫れや発熱、痛み、内出血などの炎症が出ることもあるのです。
炎症の程度・期間は人によって異なりますが、一般的に傷口や頬の腫れ・痛みは抜歯した翌日~翌々日にピークを迎え、1週間ほどで落ち着きます。
親知らずが「斜めや横を向いている、埋まっている」といったケースでは、歯茎を切開したり、骨を少し削ったりします。そのため傷口の炎症が強く出やすく、大きく腫れる場合もあります。
できれば、歯を抜いた後の痛みや腫れを抑えたいですよね。
体が疲れて抵抗力が下がっていると炎症の原因につながることもあるため、親知らずを抜く前は疲れを溜めず、しっかり睡眠をとるようにしましょう。
実際に「傷の治りが遅い」とおっしゃる患者様に、十分な睡眠や栄養のある食事をしっかりと摂っていただくように促すと、あっという間に傷口が治っていくケースは少なくありません。
抜歯後はできるだけ予定を入れないなどして、ゆっくりと体を休めることが非常に大切です。
親知らずの抜歯後に見られる代表的な症状
親知らずの抜歯後には、「しばらく血がじわじわと出る」「鈍痛がする」「口が開きにくい」「歯を抜いた部分の穴に食べカスなどが入って気になる」など、日常生活で不便に感じることも出てくると思います。
通常は抜歯して2~3日で多くの症状は落ち着いてきますが、反対にどんどん痛みが強くなってくる場合は要注意!その症状、ドライソケットかもしれません。
ドライソケットとは?
歯を抜いた部分は「血餅(けっぺい)」と呼ばれる血の塊ができて穴を覆い、ゆっくりと傷口をふさいでいきます。しかし、何らかの原因で穴がふさがらず骨が露出した状態になっていると強い痛みを引き起こします。これが、ドライソケットです。
<ドライソケットの症状>
- 何もしなくてもズキズキと痛む。
- 飲んだり食べたり風が当たったりすると、もっと痛い。
- 親知らずを抜いた後よりも、2~3日経ってからの痛みの方が強い。
- 痛み止めが手放せないなど、強い痛みが1週間以上続く。
- 傷口の穴が白っぽく見える。悪臭がする。
どれだけ気を付けても、抜歯後2~5%の割合でドライソケットになってしまうこともあります。ドライソケットかもしれない…と感じたら、抜歯した歯科医院を早急に受診してください。
特に親知らずの抜歯後は、年齢を重ねるごとにドライソケットになるリスクが高まります。痛みが続く場合は、我慢せず痛み止めを服用し、できるだけ体を休めましょう。
ドライソケットが治るまでの期間は、おおよそ2~3週間ほどです。
<ドライソケットを予防するには?>
抜歯後、口の中にじんわりと血の味がすると気になりますよね。そこで、「何度もうがいをする」「ブクブクと強くうがいをする」のはNGです!
傷口を覆うための血餅が取れてしまい、ドライソケットの原因になってしまいます。
抜歯後の腫れ
上顎の親知らずの場合、抜歯後に腫れることはあまりありません。しかし下顎の親知らずの場合は、抜歯後に腫れるケースがほとんどです。
下顎の親知らずは硬い顎の骨にしっかりと埋まっているケースも多く、難抜歯になるリスクが高くなります。そのため個人差はありますが、抜歯後に青あざのような内出血を伴う腫れや、アメ玉を口に入れているように腫れる方もいらっしゃいます。
個人差はありますが、ほとんどの腫れは1週間程で落ち着きます。
人前で話をする、写真を撮る機会がある等、大事なご予定がある方は、抜歯をするタイミングを歯科医師と相談してみましょう。
また抜歯の処置後には、ほとんどの歯科医院で痛み止めと抗生物質(化膿止め)のお薬を処方します。抜歯後の炎症や感染を抑えるため、処方された抗生物質のお薬はしっかりと飲みきるようにしてくださいね。
抜歯後に避けた方が良いこと
親知らずや歯を抜いた後、「傷口の違和感」や「口の中が血の味がする」など気になる悩みも出てくると思います。
抜歯後の注意事項として、覚えていただきたいことは3つ。
- ブクブクと強くうがいをせず、軽くゆすぐ程度にする
- 舌や歯ブラシなどで傷口を触らない
- 飲酒・激しい運動・長風呂など血行が良くなることは避ける
これらは傷口の回復を遅らせ、血が止まりにくくなるため抜歯後当日は控えましょう。
また、傷口が落ち着くまでは「喫煙」も控えましょう。
喫煙は、血管を収縮させる作用があり、傷の治りを遅らせます。タバコを吸い込む動作によって傷口のかさぶたをはがすこともあるため、痛みがでる原因にもつながるのです。
安全に親知らずを抜歯するために
歯を抜歯する際に、痛みや切開を最小限に抑えるため必要であれば「歯科用の三次元CTによる診査診断」を行っています。
また、患者様の不安を少しでも取り除けるよう「痛みの少ない麻酔」を心がけています。
<歯科用CTによる事前診断>
しっかりと歯茎から生えきっている親知らずは、抜歯も比較的スムーズに行うことができます。しかし、斜めや横向きにに生えている親知らずの抜歯は難しいケースの場合も少なくありません。
難しいケースの場合、非常に時間がかかったり、多くの出血や一時的な麻痺が生じたりする場合もあります。
そのため、親知らずの位置や顎の神経との距離感などを正確に把握するため、事前にしっかりと診査診断を行う必要があるのです。
より安心・安全に親知らずの抜歯を行うためには、歯科用CT(三次元立体画像撮影装置)による事前診断が欠かせません。
二次元のレントゲンでは確認できなかった部分も、三次元の歯科用CTで撮影することにより、抜歯前に様々な角度から精密に分析ができるようになりました。
余分な切開や骨を削る処置を最小限に減らすことで、術後の炎症を軽減できます。
<痛みの少ない麻酔>
抜歯の途中で痛みが生じないよう、しっかりと麻酔を効かせます。しかし、歯医者の麻酔は「チクッ!」として嫌だな…という方も多いのではないでしょうか。
麻酔が痛くないようにするには、2つポイントがあります。
それは、「スピード」と「極細の注射針」です。
注射針の先がとても細い極細注射針は、人間の痛いと感じる「痛点」の間隔よりも細いため痛みを感じづらいというメリットがあります。
また、麻酔薬は体温と同じ温度に温めることで、注入時の不快感を軽減させます。
そして、ゆっくりとゆっくりと麻酔液を注入することで、麻酔時の痛みがないようにすることができるのです。
まとめ
親知らずが生えたら、必ず抜かなければいけないわけではありません。
しかし、一番奥で磨きにくい親知らずを残すことで、虫歯や歯周病の原因になったり、痛みを引き起こしたりする可能性もあります。
お口の中の現状を把握し、不安なことは歯科医師に相談してみましょう。
また、親知らずを抜く前に歯茎が腫れていると、炎症が落ち着くまで待ってからの抜歯になります。ご自身での歯磨きに加えて、親知らずに汚れが溜まらないよう歯科医院でのクリーニングも受けておくことをおススメします。