上の総入れ歯の違和感を軽減させる方法とは?歯科医師が解説
入れ歯を使うとき、違和感を感じるのは普通のことです。違和感を少なくするには、どんな材料を使うかと、その入れ歯がどれだけ精密に作られているかが大切です。
でも、どんなに丁寧に作っても歯科医院での調整が必要になることがあります。
この記事では、どうして入れ歯を使うと違和感があるのか、どうすればそれを少なくできるかについて、わかりやすく説明します。
1、上の総入れ歯の使用時に違和感が生じやすい理由
2、使用中の総入れ歯の違和感を軽減させる方法
・気をつけるべきポイント
3、違和感の少ない入れ歯づくり
4、総入れ歯の違和感で困ったら歯科医院へ
上の総入れ歯の使用時に違和感が生じやすい理由
多くの方が総入れ歯を使用する際に違和感を覚えます。この違和感の主な原因は、上顎の口蓋(こうがい)と呼ばれる部分が入れ歯によって覆われてしまうことにあります。
口内の感覚は個人差が大きく、中にはすぐに慣れる方もいれば、なかなか慣れずに苦労される方もいます。
入れ歯使用に伴う一般的な違和感として、以下の点が挙げられます。
- 入れ歯がフィットしない
- 不快感
- 食事がしにくい
- 食べ物の味が落ちる
- 発話が困難
総入れ歯使用時に違和感を覚える主な原因は、上顎の口蓋(こうがい)を覆う構造にあります。
この部分は一般にプラスチック材料で作られており、以下のデメリットが生じます。
1、厚みの必要性
プラスチックは必要な強度を持たせるためにある程度の厚みが必要ですが、これが様々な問題を引き起こします。
2、感覚の鈍化
プラスチックは熱伝導が低いため温度感覚が鈍くなります。また、入れ歯が口蓋を覆うことで食べ物の味や口内の感覚が変わります。
3、不快感
口内は敏感な部分が多いため、特に喉に近い部分が覆われると不快感を感じやすくなります。
4、発話の困難
入れ歯の厚みにより、舌の動きが制限され話しにくくなることがあります。
5、食事の不便さ
入れ歯の噛み合わせが適切でない場合、効果的に食べることが困難になります。食事がしにくく、食べ物が美味しく感じられないこともあります。
使用中の総入れ歯の違和感を軽減させる方法
ほとんどの人が初めて入れ歯を使う際に違和感を感じます。これは、お口の中に大きな異物が入るためであり、とても自然な反応です。
入れ歯を無理なく馴染ませることが重要です。
1、段階的な慣れ
すぐに長時間装着を試みるのは困難なので、最初は短い時間から始めて徐々に装着時間を長くしていくのが良いでしょう。
2、食事
固い食べ物をすぐに噛むのではなく、始めはスープや飲み物からスタートし、次に柔らかい食べ物を試みます。痛みや違和感がなければ、徐々に小さく切った硬い食べ物に挑戦してみましょう。
このように段階的に入れ歯に慣れていくことで、最終的には日常生活での使用に違和感なく適応できるようになります。
それでも違和感がある場合は、歯科医院で状態に合った調整を行うことも大切です。
気をつけるべきポイント
1、入れ歯は適切に使用すること
入れ歯が合わないと感じた場合に入れ歯を使わずに生活すると、歯茎が傷ついたり、顎の骨が変形してしまい入れ歯がさらに合わなくなる可能性があります。
2、不適合な入れ歯の使用を続けることのリスク
不適合な入れ歯を使用し続けると歯茎を傷つけるリスクがあり、その結果、細菌が侵入し炎症を引き起こすことがあります。
3、自分で入れ歯を調整しないこと
入れ歯が痛いからといって自分で調整しようとすると、誤った調整により入れ歯が壊れたり、さらに適合が悪くなる可能性があります。
4、歯科医院での調整の重要性
違和感がある場合や調整が必要な場合は、自分で判断せずに歯科医院で専門家による調整を受けるべきです。保険の規定で半年に一度しか入れ歯を作れないため適切な調整が非常に重要です。
これらの点を守ることで、入れ歯を快適に長持ちさせることが可能です。
不便を感じたら、面倒がらずに歯科医院を訪れ調整をするようにしましょう。
違和感の少ない入れ歯づくり
違和感の少ない入れ歯を作成するには様々な要素が関係してきます。材質も保険診療と自由診療とでは使用できるものが異なります。
1、材質の選択
【アクリル樹脂】
最も一般的に使用される材質は保険適用内で提供されることが多く、比較的低コストで調整や修理が容易です。ただし、材質の性質上、十分な強度を確保するためにはある程度の厚みが必要です。これが違和感の原因となりやすく、また経年による劣化で割れることもあります。
【金属床】
金属を基にした材質は、高い強度を持ち耐久性がありますが、アクリル樹脂に比べてコストが高くなる傾向があります。この材質は保険適用外であるため多くの場合自費での対応となります。金属を使用しているので薄い構造でも強度を維持できます。また、金属は温度伝導率が高いため温度変化を感じやすくなります。
2、保険と自費の選択
【保険】
基本的な入れ歯は保険の範囲内でカバーされますが、素材や技術に制限があります。保険適用の入れ歯はコストを抑えたい方に適しています。
【自費】
より質の高い素材や精密な製作を望む場合、自費での治療が選択されます。初期コストは高くなりますが、適合感、耐久性、見た目の面で優れています。
違和感を軽減するためには、正確な型取りと適合性の確認をして、患者さんの口腔内に完璧にフィットするよう調整することが重要です。
総入れ歯の違和感で困ったら歯科医院へ
新しい入れ歯は慣れるまで違和感を感じやすいものです。そのため、違和感を最小限に抑えるための材質を選んで作るなどの工夫が必要です。
しかし、どれだけ精密に作成しても調整が必要になることがあります。入れ歯はご自身の歯の代わりとして使用しますので、違和感を覚えたら自己判断で調整を行わず歯科医院を受診してください。