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筋トレやスポーツ時のマウスピースの効果とは?選び方やメリットを解説

【監修:歯科医師 篠﨑章敬】



筋トレやスポーツをしている時に、ふと気が付いたら歯を食いしばっていた、という覚えはありませんか?強い力は、歯や顎に大きな負担をかけている可能性があります。

そのため、近年では、パフォーマンス向上や体を守る目的で、筋トレや激しいスポーツを行う際にマウスピース(スポーツ用マウスガード)を着用する人が増えています。

このコラムでは、スポーツ用のマウスピースの具体的な効果や選び方、注意点をわかりやすく解説します。

【目次】
1.スポーツ用のマウスピースが必要とされる理由
 1-1 強い負荷がかかると無意識に歯を食いしばる
 1-2 食いしばりによる歯や顎へのダメージ
2.スポーツ用マウスピースを装着するメリット
 2-1 歯の摩耗や破折、顎関節症の予防
 2-2 身体のバランス安定とパフォーマンス向上
 2-3 集中力の維持とリラックス効果
3.スポーツ用マウスピースの種類と選び方
 3-1 市販品(市販のスポーツマウスガード)
 3-2 歯科医院で作製するカスタムメイド品
4.カスタムメイド(歯科医院製)が推奨される理由
 4-1 精密な咬み合わせの調整が不可欠なため
 4-2 呼吸のしやすさと話しやすさの確保
5.マウスピースを使用する際の注意点
 5-1 使用後は必ず洗浄し、清潔に保つ
 5-2 定期的な交換とメンテナンスが必要
 5-3 虫歯や歯周病の治療を優先する
6.マウスピースで安全かつ効果的な運動を

スポーツ用のマウスピースが必要とされる理由

スポーツ用のマウスピースが注目されている背景には、筋力発揮時の人間の習性と、それに伴う身体へのリスクが深く関係しています。

ここでは、トレーニング中に口元で何が起きているのか、そしてなぜ対策が必要なのかを詳しく紐解いていきます。

強い負荷がかかると無意識に歯を食いしばる

重量挙げやベンチプレスなど、重いウエイトを持ち上げる瞬間、私たちは無意識に歯を強く食いしばります。この食いしばりは、体幹を安定させ、瞬間的に大きな筋力を発揮するための自然な生体反応です。

しかし、この時歯や顎にかかる力は想像以上に巨大で、歯や顎関節へ悪影響を及ぼすリスクを孕んでいます。

食いしばりによる歯や顎へのダメージ

健康な成人が日常生活で咬む力は自身の体重と同程度とされていますが、全力で食いしばった場合はその数倍、時には数百キログラムに達することが報告されています。

この強い力が繰り返し加わることで、

  • 歯が削れる(摩耗)
  • 微細なヒビが入る
  • 歯が割れる(歯冠・歯根破折

といったトラブルを引き起こします。

また、顎の関節や筋肉にも過度な負担がかかり、顎関節症の原因になることもあります。

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スポーツ用マウスピースを装着するメリット

マウスピースの役割は、単に歯を物理的な衝撃から保護するだけにとどまりません。

正しく装着することで、身体のバランスやトレーニングの質そのものにも良い影響を与えることがわかっています。具体的なメリットを3つに分けて解説します。

①歯の摩耗や破折、顎関節症の予防

マウスピースの最も直接的なメリットは、クッションとしての保護機能です。

上下の歯の間に弾力性のある素材が挟まることで、食いしばりによる圧力が分散されます。これにより、歯のすり減りや破折を防ぎ、顎関節にかかる負担を大幅に軽減して、顎関節症のリスクを抑えることができます。

また、ラグビーやボクシング、空手といった「コンタクトスポーツ(接触の多い競技)」では、相手やボールとの衝突による歯の破折や口内の裂傷を防ぐため、マウスピースの着用が義務化または推奨されています。

②身体のバランス安定とパフォーマンス向上

正しい咬み合わせは、頭部の位置を安定させ、全身の姿勢バランスを整えることに繋がります。

マウスピースを装着して咬み合わせを均等に安定させると、左右の筋力バランスが整い、フォームが安定しやすいです。

その結果、効率よくパワーを伝達できるようになり、ベンチプレスやスクワットなどの最大挙上重量(1RM)が向上するケースもあります。

③集中力の維持とリラックス効果

適切なマウスピースを装着すると、顎の筋肉の過緊張が和らぎます。

過度な食いしばりは脳へ強い刺激を与え、疲労感を増幅させることがありますが、マウスピースがこれを緩衝することで、トレーニング中の余計な緊張を防ぎ、高い集中力を維持しやすくなります。

スポーツ用マウスピースの種類と選び方

スポーツ用のマウスピースには、市販されているものと歯科医院で作るものがあります。

自分の目的や予算、口の形に合ったものを選ぶために、それぞれの特徴と違いを正しく理解しておきましょう。

市販品(市販のスポーツマウスガード)

スポーツ用品店やネット通販で購入できるタイプです。お湯で温めて柔らかくし、自分の歯で咬んで型を作る「ボイル&バイトタイプ」が主流です。

<メリット>
価格が数百円~数千円と安価で、手軽に購入できます。

<デメリット>
適合性が低く、運動中に外れやすかったり、呼吸や会話がしにくかったりします。咬み合わせがずれていると、逆に顎を痛める原因になります。

歯科医院で作製するカスタムメイド品

歯科医院で型取りを行い、専門の歯科技工士が精密に作製するオーダーメイドのマウスピースです。

<メリット>
自分の歯列に完璧にフィットするため、ずれる心配が少なく、呼吸や会話への影響も最小限に抑えられます。また、精密な咬み合わせ調整が行われるため、パフォーマンス向上や怪我防止の効果が最も高いです。

<デメリット>
保険適用外(自費診療)のため、費用が数万円程度かかります。また、完成までに数日~数週間の期間が必要です。

カスタムメイド(歯科医院製)が推奨される理由

本格的に筋トレや激しい運動を行う方や、安全性を最優先したい方には、歯科医院での作製を強くおすすめします。

なぜなら、適合の悪いマウスピースは、健康を守るどころか逆効果になる恐れがあるからです。医療の視点からその理由を解説します。

精密な咬み合わせの調整が不可欠なため

人間の咬み合わせは、髪の毛が一本挟まっただけでも違和感を覚えるほど繊細です。

市販品では左右均等に咬むことが難しく、特定の歯や片側の顎関節だけに強い力が集中してしまうことがあります。

歯科医院では、歯科医師が全体の咬み合わせのバランスを微調整しながら仕上げるため、安全に強い力を発揮できます。

呼吸のしやすさと話しやすさの確保

歯科医院で作るマウスピースは、必要な厚みを確保しつつ、不要な部分を極限まで薄く削るため、装着時の違和感が最小限に抑えられます。

これにより、ウエイトトレーニング中の激しい呼吸(換気)を妨げず、トレーナーやパートナーとの会話もスムーズに行えます。

マウスピースを使用する際の注意点

マウスピースは、ただ着ければ良いというわけではなく、適切な使用と管理が必要です。長持ちさせ、お口の中の健康を保つために、以下の3つの注意点を必ず守るようにしてください。

使用後は必ず洗浄し、清潔に保つ

口の中には多くの細菌が存在します。使用後のマウスピースには細菌が付着しており、そのまま放置すると雑菌が繁殖して、異臭や虫歯、歯周病の原因になります。

使用後は流水でよく洗い、水気を切って専用のケースで保管してください。なお、熱湯をかけると変形してしまうため、必ず水かぬるま湯で洗うようにしましょう。

また、歯磨き粉を使って磨くのはNGです。歯磨き粉に含まれる研磨剤がマウスピースの表面に細かな傷をつけ、そこに雑菌が繁殖しやすくなってしまいます。汚れが気になる場合は、市販の『マウスピース専用洗浄剤』を使用しましょう。

定期的な交換とメンテナンスが必要

マウスピースは消耗品です。特に筋トレで強い力で食いしばる場合、素材が徐々に摩耗したり、変形したりします。

使用頻度や食いしばりの強さにもよりますが、スポーツ用マウスピースの寿命は一般的に「半年〜1年程度」が目安とされています。

穴が空いたり、フィット感が落ちてきたりしたら交換のサインです。歯科医院で作ったものであれば、定期検診の際に持参して、状態をチェックしてもらうことをお勧めします。

虫歯や歯周病の治療を優先する

お口の中に治療していない虫歯やグラグラする歯がある状態でマウスピースを装着し、強い力で食いしばると、症状が悪化する恐れがあります。

また、虫歯の治療をして歯の形が変わると、作製したマウスピースが合わなくなるため、まずは歯科治療を完了させてからマウスピースを作製するのが鉄則です。

マウスピースで安全かつ効果的な運動を

運動時のマウスピース装着は、大切な歯と顎を守る「プロテクター」であり、最大のパフォーマンスを引き出す「ギア」でもあります。

市販品の手軽さも魅力ですが、健康リスクを抑え、より高い効果を得るためには、歯科医院で自分専用のカスタムメイド品を作製することを推奨します。

スポーツ用のマウスピースが気になっている方は、一度歯科医院で相談してみましょう。


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