歯ブラシの「硬さ」、なんとなくで選んでいませんか?|歯茎の健康を守る正しい選び方
あなたが毎日の歯磨きで使っているその歯ブラシ、
「しっかり磨けそうだから」
「いつもこれだから」
と、なんとなくで選んでいないでしょうか?
歯ブラシを購入する際、パッケージに「かため」「やわらかめ」といった毛の硬さが表記されているのを見たことがあるかと思います。実はこの毛の硬さは、歯や歯茎の健康、さらには歯の寿命そのものに影響する重要なポイントなのです。
自分のお口の状態に合っていない歯ブラシを使い続けると、
✔ 汚れが落ちにくい
✔ 歯茎を傷つける
✔ 知覚過敏や歯肉退縮を招く
といったトラブルにつながることもあります。
この記事では、歯科の専門的な視点から、歯茎の状態に合わせた歯ブラシの選び方をわかりやすく解説します。
1.歯ブラシの毛の硬さは「歯茎の状態」で決める
1-1 まずは歯茎のセルフチェック
1-2 硬さの基本は「ふつう」。症状があれば「やわらかめ」
1-3 「かため」は要注意。使い方を間違えると逆効果も
2.毛先の形・細さも症状に合わせて選ぶ
2-1 毛先の形は「フラット」が基本
3.仕上がりを左右する「持ち手」と「ヘッド」
4.自分のお口に合った歯ブラシで健康な歯を守ろう
歯ブラシの毛の硬さは「歯茎の状態」で決める
歯ブラシ選びで最も重要なことは、「現在の歯茎の状態」を知っておくことです。
まずは歯茎のセルフチェック
歯ブラシを選ぶ前に、鏡でご自身の歯茎を観察してみましょう。
○健康な状態の歯茎
歯茎にハリがあり、ブラッシング時に出血しない
○トラブルがある状態の歯茎
歯茎が赤く腫れている・下がっている・磨くと出血する
まずは上記のような症状がないかを確認し、トラブルの可能性が高い場合は「やわらかめ」の歯ブラシを使用してください。
歯磨きの際の出血や、歯茎の下がりが気になっている場合は、歯周病が進行している可能性があります。歯科医院で検査と診断を受け、ご自身にあった歯ブラシの処方を受けることをおすすめします。
硬さの基本は「ふつう」。症状があれば「やわらかめ」
先述したようなトラブルがない場合、基本的には「ふつう」の硬さを選べば問題ありません。
◎「ふつう」
・歯や歯茎への刺激・圧が強くない。清掃力もあってバランスが良い
・歯と歯茎が健康な方、大人でも子どもでも適している
・日常的な虫歯・歯周病予防に向いている
◎「やわらかめ」
・歯や歯茎にやさしい。圧が少ない
・歯や歯茎を傷つけにくい反面、清掃力が劣る
「やわらかめ」は、歯茎にトラブルのある方におすすめですが、清掃力が弱いので時間をかけて丁寧に磨くことがポイントになります。
「かため」は要注意。使い方を間違えると逆効果も
「毛が硬い方が汚れが落ちそう」と感じて、「かため」を選ぶ方も少なくありません。
しかし、硬めの歯ブラシには注意が必要です。
毛が硬い歯ブラシは、歯の汚れを落とす力が高く、しっかり磨けている感触も得やすいのですが、以下のようなリスクも伴います。
- 歯の表面にあるエナメル質を摩耗させる
- 歯肉退縮(歯茎が下がる)の原因になる
- 知覚過敏の原因になることもある
このように、歯や歯茎への圧・刺激が強く、トラブルの原因になる可能性があります。一度失われてしまった歯や歯茎の組織は、自然には元に戻りませんので注意が必要です。(※手の力が極めて弱い方などを除き、基本的には「ふつう」または「やわらかめ」をおすすめします)
もし「かため」を使うのであれば、
✔ 力を入れすぎない(毛先が広がらない程度の軽い圧)
✔ なでるように歯ブラシを動かす
といった力のコントロールに十分注意して使う必要があります。
毛先の形・細さも症状に合わせて選ぶ
歯ブラシは、毛の硬さだけでなく、毛先の形状にも種類があります。
毛先の形は「フラット」が基本
毛先が一直線に揃った「フラットタイプ」は、ブラッシング圧が均等にかかりやすく、効率的に汚れを落とせるのが特徴です。
毛先に段差がある「山切りカット」は、歯と歯の間の汚れを落としやすいメリットがあります。しかし、歯並びや磨き方によって線状に磨き残しが出やすい点に注意が必要です。
また、毛先の細さにも種類があり、毛先が丸い「ラウンド毛」と、毛先に向かって細くなる「テーパード毛」「先細毛(極細毛)」があります。
◎ラウンド毛
毛先が丸く、歯の表面に密着して汚れを落とせる。虫歯予防を重視したい方、歯面の汚れをしっかり落としたい方におすすめ。
◎テーパード毛・先細毛・極細毛
歯周ポケットや歯と歯茎の隙間に届きやすい。歯周病ケアを重視する方、歯周ポケットの清掃を意識したい方におすすめ。先が細くて狭いところに届きやすい反面、コシが弱く清掃力は低いという点に注意が必要。
仕上がりを左右する「持ち手」と「ヘッド」
実は、歯ブラシの毛に使われる材質には複数の種類があります。一般的にはナイロン素材が多く、安価で十分な機能を備えています。
もうひとつ良く使用されているPBT毛材(飽和ポリエステル樹脂)は、ナイロンと比較して吸水性が低いので、乾きやすくて耐久性も高いといった特徴があります。より良い素材を選びたい場合はPBT毛材がおすすめです。
そして、さらに歯磨きを効果的にして口腔内の衛生状態を良くするためには、柄(持ち手)の部分とヘッドの大きさも見逃せない要素です。
柄の部分は、複雑なデザインよりもストレート形状が良く、鉛筆持ち(ペングリップ)で軽く持てる細さ・サイズ感がおすすめです。余計な力が加わりにくく、歯茎を傷つけるリスクを減らせます。
ヘッドが大きいと、お口が小さめの方の場合、奥歯まで歯ブラシが届かないことがあります。 しっかり奥歯まで届く小さめのヘッドを選ぶのがおすすめです。目安は「上の前歯2本分程度」のサイズです。
自分のお口に合った歯ブラシで健康な歯を守ろう
歯ブラシ選びは、毎日使うものだからこそ、つい「いつもと同じもの」と習慣や感覚で選びがちです。しかし、歯ブラシ選びはお口の健康を左右するうえでとても重要な要素です。
自分の歯茎の状態に合っていない歯ブラシを使ってしまうと、汚れが十分に落とせないだけでなく、歯や歯茎を傷つけてしまいトラブルを招くことにもつながりかねません。
だからこそ大切なのは「自分の歯茎が今どんな状態か」を正しく知ることです。
また、どんなに良い歯ブラシを選んでも、毛先が開いてしまうと清掃力は大きく落ちてしまいます。衛生面や弾力を保つためにも、歯ブラシは1ヶ月に1本を目安に交換する習慣をつけましょう。
セルフチェックはもちろん、歯科医院でプロの目で確認することで、より確実に自分に合った歯ブラシを選ぶことができます。
当院では、歯科衛生士による歯磨き指導を行い、患者様お一人お一人の歯茎の状態や磨き方をチェックしたうえで、あなたに本当に合っている歯ブラシをご提案させていただきます。
いつでもお気軽にご相談ください。